彼女の薬指(仮)
スッキリとしたという彼女の言葉に、でしょうね。としか思えなかったけど、ようやく解放されるかと思ったら、慰めにもにた言葉を彼女にかけてしまった。すると予想外だったのか一瞬きょとんとすたもの、泣きましたって顔で、満面の笑みを俺に向けた。その無邪気な笑顔に、一瞬、目が釘付けになってしまったのに、なんだか急に照れくさくなって彼女から視線を外してしまった。


「夏までには彼氏できるといいなー。じゃねー」
「あ、先輩。先輩の名前! 話聞いたんだから、名前ぐらい教えてくださいっス!」
「上條桜子。桜子でいいよー」
 クロっちありがとう。とか、言いながら彼女は席を立ち上がり、スキップしそうな勢いで食堂を出ていこうとする彼女の背中に呼びかけてしまった。もう会うこともないだろう先輩の名前なんて知らなくてもよいはずなのに。

 自分の周りに再び静寂が戻った。
 中庭の桜の木は、そろそろ春の終わりを告げていた。
 
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