麗雪神話~理の鍵人~
セレイアは覚悟を決めた。

(大将ヴェインを倒せば、彼らは瓦解する! ここにいてもしょうがないなら!)

―まっすぐ突き進むまでだ。

セレイアは矢の雨の中を、だっと駆け出した。

「セレイア!?」

ディセルの悲鳴のような声が背中を打つが、セレイアは止まらない。

仲間たちを守るためには、突っ込むしかないのだから。

セレイアの腕や足を、矢がかすめる。

痛みに顔をしかめたが、それでもセレイアは止まらず、吊り橋を駆けて行った。

「ヴェイン、覚悟―――っ!!」

この行動に、ヴェインは少なからず驚いているようだった。表情にそれが表れている。

(一撃で、決める――――!!)

でないと射殺されるのは自分だ。

セレイアが渾身の力を込めて放った一撃を、しかしヴェインは手にした槍で受け流してしまった。

(ああっ!!)

セレイアの胸に焦りと恐怖が生まれる。

このままではセレイアは矢の雨の的だ。
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