麗雪神話~理の鍵人~
しかし、ヴェインはなんと、「総員攻撃、やめ!」と兵たちに指示を出した。

セレイアは呆然となる。

いったいどういうつもりだろう、と。

ヴェインはにやにやしながら、セレイアに槍先を向けた。

「これはこれは。
仲間たちのために自ら危険に突っ込むか。
ばかだけど、面白いね。
君の勇気に敬意を表して、ふふ、ここは一騎打ちといこうか? セレイア」

どうやらヴェインの気まぐれで、命がつながったようだ。

セレイアは吊り橋の上で飛び退って構えると、威勢よく吠えた。

「望むところよ!!」

「バカを言うな!
セレイア一人を戦わせたりしない!」

色めき立ったディセル達がセレイアのもとへ駆け寄ろうとするも、「動くな! 総員少女を狙え!」というヴェインの声のあと、ディセル達は動けなくなってしまう。

弓矢の照準が、すべて吊り橋上のセレイアに合わせられたからだ。
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