イケメン王子先輩と私。
【雫side】
「なんで……? なんで霰とあの人が……!? 霰なら……浮気しないと思ってたのに……」
私は夜、自分の部屋で泣いていた。私は最終的には泣き疲れて寝ていた。数週間後、私はいつも通りの時間に学校に行った。すると、私のクラスの教室の前に霰が立っていた。
「! 雫……!!」
霰は私に気づき、走ってきた。私は霰から逃げた。そして10分後。
「な、んで逃げんだよ……げほっ、……雫!!」
「そ、それは霰が……きゃっ」
階段を下ろうとして足が滑って転びそうになったその時。
「――大丈夫か!?」
私の腕をぐいっと引っ張って助けてくれたのは、霰だった。
「うん、大丈夫。……ありがとう、じゃあね」
そう言って教室に戻ろうとした時、また強く腕を掴まれた。
「……今日の放課後、猫の場所で待ってる」
そう言って霰は私の腕から手を離して教室に戻っていった。ぼーっとしていたら、全ての授業が終わっていた。……行かなきゃ。3年生は5時間授業だったから終わっていたらしく、霰がいた。
「雫。……あのさ、この前の事なんだけど……あれ、雫の勘違いなんだ。俺はアイツ……愛美と付き合ってないし、恋愛対象として好きじゃない」
「……じゃあ、なんでキスしてたの?」
「それは、愛美が『キスしてくれたら諦める』って言ってきて……俺は誰にでも優しい訳じゃねぇって言ったら『雫が痛い目に遭ってもいいんだ?』って……それでしょうがなくキスしたんだ。……雫、俺がお前の過去の事を知ってて浮気すると思うか?」
「……思わない」
「……雫は俺だけのものだ。そして俺は雫だけのものだからな」
「うん。……誤解してごめん、霰」
そう言って私は霰にキスをした。すると、どこからか舌打ちをする音がした。……もしかして。
「あ〜あ、もう仲直りしちゃったのぉ? ……つまんなーい」
ほらきた、ぶりっ子の百崎愛美……先輩。霰は先輩を睨み、私の前に立った。
「愛美。俺達は愛美の玩具じゃねぇ。……俺と雫が付き合ってる事は全校生徒に伝えたはずだ。……雫の事を傷つける奴は男でも女でも許さねぇってな。いくぞ、雫」
「うん。……あっ、ちょっと待って」
私は霰のブレザーの袖を引っ張り、そう言った。そして先輩の前に立った。
「なぁに? 雫ちゃ――」
私は思いっきり先輩の色白い透き通った頬を平手打ちした。
「なっ……、痛いじゃない!」
「……これは霰の分。もう1つは――」
私はまた、さっきと反対の頬を叩いた。
「……私の怒りの分。もう私と霰に話しかけてこないで!! ……行こう、霰」
「……あ、あぁ」
私は霰の手を握って学校を出た。その瞬間、足の力がいきなり抜けて地面に座り込んでしまった。
「!! 雫!? どうした!?」
「あ……、本当はさっき凄い怖くて……安心して力が抜けちゃった」
そう言って私はアハハッと苦笑した。すると、霰もクスッと笑ってしゃがみこんだ。
「……心配させんな、バーカ。ほら、家まで運んでやるから背中に乗れよ」
「うん、ありがとう霰」
私はは霰の背中に乗って家まで送ってもらった。……やっぱり霰といると安心する。
「……おい、着いたぞ」
「……うん。私、重くなかった?」
「いや、重くなかったぞ。……雨降ってきちまったな。ここから俺の家まで遠いし、走って帰ったら風邪引くよな……」
そう霰が困った顔をして、空を見上げていた。すると、いきなり玄関のドアが開いた。