イケメン王子先輩と私。
【霰side】
「あの、すみません……」
「……あら、霰くんどうしたの? 雫ともっとラブラブしてていいのよ?」
「えっと……作るのを手伝おうと思ってきたんですけど……」
「あら、手伝ってくれるの!? じゃあ……これを切ってカレーを作ってくれる?」
「はい。分かりました」
そう言って俺は野菜を包丁で切り始めた。
「……ねぇ、霰くん。ありがとね」
「……え? 何でですか?」
カレーのルーを入れて煮込んでいると、お母さんが隣でそう言った。
「私ね、随分前……2年の春くらいまで奏ちゃん以外に友達がいるか心配でしょうがなかったのよ。でもある日、雫がこう話してくれたの。『3年生の男の友達ができたの。とても優しくて学校の王子なんだよ』って。その日から毎日、幸せな顔で帰ってくるようになったのよ」
「そうなんですか……」
「だから……雫をこれからもよろしくね? 霰くん」
「……はい!」
そう言っていたお母さんの瞳は少しだけ純血していた。
「――お母さん! 霰! 今日カレー?」
すると、私服に着替えた雫がきた。なんか意外……女の子らしい服だ。クールな服なのかなと思ってたけど。
「あぁ、そうだよ。雫、カレー好きか?」
「そっか。俺も大好きだよ。……雫の事が」
……なんか改めて『大好き』って言うのは恥ずかしいな……。そう思っていると、隣にいるお母さんが俺達を見てニヤニヤしていた。
「さぁ、冷めないうちに食べるわよ♪」
そしてテーブルに夕食を並べて椅子に座った時、玄関のドアがガチャッと開いた。
「――ただいま雫〜! 夕食は雫の大好きなカレーか〜! ……って、うん? 君は誰だい!?」
「あら、パパお帰り♪ この人はね、雫の彼氏よ☆ 今日は大雨で帰れないから泊まってくって」
「お邪魔してます。雫と同じ高校の結城霰です」
なんか……雫を凄く溺愛してそうなお父さんだな。
「雫っ、お前彼氏いたのか!? いつからだ!?」
お父さんは雫の方へと駆け寄り、肩を掴んで揺さぶった。
「えっと、……うん。9月くらいから」
「そうなのか……遂に雫は結婚するのか……」
「「えっ!?」」
なんでいきなり結婚まで……。
「まぁまぁ、とにかくお父さんも早く食べて♪」
「そ、そうだな……」
そして俺達は夕食を食べ始めた。……愛ちゃんと雫、やっぱり似てる。夕食後は皆でテレビを観た。
「パパと霰くん、先にお風呂入っちゃって♪」
「そ、それじゃあ霰くん。行こうか」
「? ……はい」
そして俺とお父さんは1階の一番奥にある風呂場へ行った。
「……あの、お父さん。背中洗いましょうか?」
「あぁ、ありがとな」
俺はボディーソープを泡立てて、お父さんの背中を洗った。
「……なぁ霰くん」
「は、はい。強すぎましたか?」
「いやっ、そうじゃなくてだな……雫の事だ」
「雫の事……ですか?」
「……雫はああ見えて強がりだからな。俺もママと同じで、友達がいるか心配だったんだよ。……でもそんな雫に、こんなにイケメンで優しい彼氏ができるとは思ってなかったよ。……霰くん、雫の事を幸せにしてやってくれ。泣かせたら許さないぞ?」
「……はい。一生幸せにします!」
「……それじゃあ、そろそろ出るか」
そして俺とお父さんは風呂を出て、俺は雫の部屋へ行った。