イケメン王子先輩と私。
【結城side】
6時間目が終わり、俺は掃除をさっさと済ませて鞄を持ち、2年4組の教室の前にいこうとした。すると、ブレザーの袖を軽く誰かに引っ張られた。……チッ、やばい奴に捕まっちまったな。そんな事を思いながら、爽やかな顔で後ろを向いた。……予想的中。
「結くん、一緒に帰ろぉ〜?」
そういって俺の体に抱きついてくるのは、百崎愛美。最近俺にまとわりついてくる。
「あー、ごめん。用事あるからムリ」
「え〜っ、やだよぉ〜……」
「マジでごめん。じゃあな!」
俺は愛美の手を解いてアイツの教室に向かった。10分くらい愛美に捕まっちまったけど、まだいるのか?2階の廊下には誰もいなく、シンとしていた。教室を覗いてみると、女子が1人残っていた。
「アイツは……星空なのか?」
座っている女子に近づいて見てみると、星空だった。星空は机に突っ伏しって寝ていた。てか、コイツ寝顔可愛いんじゃん。いつもこうやって可愛い顔してりゃいいのにな……。
「……おい起きろ。帰るぞ」
俺はそういって星空の肩を叩いたり揺らしたりして起こした。
「ん……もう授業終わったの?」
「あぁ。いつから寝てたんだよ」
「うーんと、……5時間目の始めくらいから?」
「どんだけ寝てんだよ。……ほら、いくぞ」
「うん。待ってて、今荷物まとめるから」
そういって机の横にかけてある鞄を取り、教科書を素早く詰め込んでいた。窓からはオレンジ色の夕日の光が差し込んでいた。……コイツ、相当疲れてたんだろうな。
「いこう、先輩」
「おう」
「……そういえば、先輩ってどこの大学にいくの?」
「あー……、まだ決めてない。てか、その先輩って呼び方はやめてくんねぇか? その……堅苦しいから」
「えー、じゃあなんて呼べばいい?」
「……霰。霰でいい。だからお前の事、雫って呼んでいいよな?」
「うん、まあ……別にいいけど」
「ったく、お前は素直じゃねぇなー、笑ってりゃいいのに。……ま、寝顔可愛かったけど」
「……え? なんかいった? 最後あまり聞こえなかったんだけど」
「……なんでもねぇよ。ほら、着いたぞ」
「うん、ありがと。じゃあね、その……霰」
雫は顔を赤く染めてもじもじしながらそういった。やべー、可愛すぎ……。
「――お前、その顔反則」
「え? ――」
俺は雫がこっちを向いた瞬間、唇を奪った。……初めてかもしれない。女子を可愛いと思ったのは。