一夜くんとのアヤマチ。
「…ありがと、一夜くん」

私の震える声に、一夜くんは私の頭を優しく撫でて応えた。

「…もうそろそろ寝ようか。明日は休みだけど、生活リズム崩れちゃうでしょ?」

そして私達は、一つのベッドに二人、背中合わせで横になった。もちろん、ベッドが一つしかないから、それだけの理由だ。…だけど、全然寝られなかった。

…さっきまで寝ていたからだろうか?

「…日向先生、起きてますか?」

後ろで一夜くんが呟く。眠れないのは、一夜くんも同じだったらしい。

「うん。起きてるよ」

私が答えると、一夜くんは思いがけない一言を口にした。

「…こっち、向いて下さい」
「えっ…?」

驚いたけど、何故か素直に一夜くんの方を向けた。

振り向くと、一夜くんの顔が触れてしまいそうなほど近くにあった。

「…何か、恥ずかしいね…」

私が目線をそらすと、一夜くんはまた、さっきと同じように私を抱きしめた。

「一夜くん…」

今度は驚きよりも先に、さっきの「きゅん」が出てきた。

「日向先生…」

一夜くんが、とても愛おしく感じられた。それは一夜くんにとっても同じだったようで、私達はどちらからともなく、唇を重ね合わせた。そして、その次の段階へ…。

…本当は、こんなことしない方がよかったのかもしれない。何故なら、これから私の教師人生が、崩れていくのだから。
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