嵯峨野夢譚(さがのむたん)

嵯峨野夢譚24

無性に喉が渇き息切れがするのです。彼はまさかと思い
次の歌を詠みました。
「この世をば 我が世とぞ思う望月の
欠けたることのなしと思えば」

あまりにも有名なこの歌は、これはまさに下り坂の始まりでした。
満月はそうもう後は欠けていくしかないのです。
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