嵯峨野夢譚(さがのむたん)

嵯峨野夢譚38

惟光は薪を割っています。賄まかないの式部がおぜん
立てをしています。ずっと源氏の読経が響いています。
年は老いても声は昔とちっとも変りません、
艶つやのある若々しい声です。

「雲隠様、夕霧様がお見えのようです」遠見をして惟光が叫びます。
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