嵯峨野夢譚(さがのむたん)

嵯峨野夢譚84

      X   X   X

老いたる源氏は暗闇の中で目を覚ましました。目が見えます。
光りさす小穴から下を覗くと、3人の男が話しをしています。

「ちっ、薫か。南無法華経?確かに夕霧の前で臨終のときにそう言ったが。
そう悟りきれずに冥府をさまよっているのが現実なのに」
< 88 / 152 >

この作品をシェア

pagetop