嵯峨野夢譚(さがのむたん)

嵯峨野夢譚86

ある夜薫はいつものように八の宮邸を訪れました。
ところがその夜は八の宮の姿が見えません。美しい娘たちが琵琶と琴きん
を弾いています。思わず薫は耳を澄ませてたたずみます。

「なんと。ここは田舎と気にも留めてはいなかったが」
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