~Lion Kiss~
世間でいうところの御曹司で……だからあのドッペルゲンガーとは身分違いとか何かが原因で結ばれなくて、彼女は別の男性を選んだ。

けれどお互いに、忘れられなくて……。

だから、私はスペアで。

私はテーブルに視線を落としたまま、かすれた声で言った。

「知らなかったです。彼が、そんな日本を代表するような凄い企業の息子だったなんて。彼は友人と起業しているみたいで、一言も相澤ホールディングスの話なんて口に出さなかった」

「この写真、誰に撮られたの?」 

花音さんの質問に、私は首を横に振った。

「分かんないの。けど、誰かが治人さんにこれを送って……」

社長は小さく息をついた。

「マヒル。しばらく此処にいていいから。けど、相澤來也の事は忘れろ」
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