~Lion Kiss~
結局俺は、マヒルに嫌われるような毒舌を吐き散らし、悲しむアイツの神経を逆撫でしてしまった。

『…アンタの生まれた日を全身全霊で呪ってやるーっ!』

目の前のアイツは、傷付きながらも狩人に牙を剥く雌豹のようだった。

……困った女だぜ、全く。

酒はガンガン飲むし、気が強くて口が悪くて平気で俺を殴る。

けど……。

「……そろそろおとなしくなれって」

声をあげて泣き続けるマヒルを、俺は抱き締めた。

もう、暴れなくていい。

涙が止まるまで抱き締めていてやるから。

俺がずっと付いててやるから。
< 306 / 444 >

この作品をシェア

pagetop