~Lion Kiss~
「…………」

來也は舌打ちしたものの何も言葉を発しなくて、私も同じく無言だった。

車はいつのまにか港区へと入った。

このまま東へ進むと代官山だ。

私は小さな声で言った。

「來也のマンションには行かないから」

「……なんで」

なんでって。

私はシートから見を起こして姿勢を正した。

もう私が、あなたの部屋へ行く理由なんかないじゃない。

「……停めて、來也」

來也がため息をつきながら車を路肩に寄せて停車した。

……どうしようもなくやりきれない空気が私達を包んでいた。
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