~Lion Kiss~
「頼りないライオンでごめん」

「マヒル」

勢い良く腕を引かれて運転席に倒れ込む私に、來也は激しくキスをした。

何度も何度も。

何度キスをしても足りなくて、私達は夢中で唇を合わせた。

「來也」

「マヒル」

名前を呼び合って見つめると、先に來也が話し出した。

「仕事が一段落したら、近々会ってくれないか」

「うん」

「ちゃんと話すから」

「うん。でももう、無理はしないで」

「ん」

このときの私は、再び感じる幸せの中にいた。

ヒタヒタと忍び寄る、事件の足音に気付きもしないで。
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