~Lion Kiss~
治人さんはホッと息をつくと再び続けた。

「あの写真を撮るように指示していたのは、緑川冴子なんだ。彼女は相澤が好きだったんだね。けれど断られて、君の事を調べたみたいだよ。相澤家にも写真を送りつけて、君達の仲を裂こうとしたみたいだったけど、彼女の思惑は失敗したみたいだ」

……そうだったのかという思い。

何と言って言いか分からずに、私は治人さんを見つめた。

「マヒルの事を調べた緑川冴子は、君が偽物の恋人だったと知り、僕達の関係を嗅ぎ付けて、今度は僕と君の仲を潰しにかかった。……僕はまんまと引っ掛かってしまったけど。
あのあとすぐ舞い込んできた話……冴子との縁談話に、自暴自棄だった僕は二つ返事で承諾したんだ。
彼女とは、何度かパーティーで会ったことがあるだけで、見合い当日までは話したこともなかったけど。
婚約発表してから何度目かのデートで、彼女は僕に言ったよ。
『私は、緑川グループの為になるなら何だってする。あなたと藤吉さんを破局に追いやったのは私です。本当は一生黙っていようと思いましたが、どんな形であれ添い遂げようと決めた相手にそれでは、あまりにも卑怯だと思い打ち明けることにいたしました。けれど、私はあなたを夫として愛し、大切にいたします。だから過去は忘れて、あなたも私と向き合ってくださいませんか』って。正直、呆れたよ」
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