First Kiss〜先生と私の24ヵ月〜
Chap♪1 愛が欲しい
今日も朝から天気が悪い。

したがってお母さんの気分も下降傾向。

こんな日に入塾テストなんてサイアクだ。

これでいい点数がとれなかったらお母さん、かんかんに怒るだろうなぁ。
私は憂鬱な足取りで小学校から家に帰った。

家に帰ると塾に行くための鞄が用意されていた。
中を確かめると、筆記用具からお弁当までしっかり入っている。

「いろは、勝負は今日だけなんだからね?わかってると思うけど」

冷たくて薄っぺらなお母さんの言葉。

「はい、わかりました」
私は素直なフリをする。
「先生に会ったらちゃんとご挨拶するのよ。第一印象が大事なんだから」
「はい、わかりました」
私はまるでロボットだ。
はい、わかりました、といえばお母さんの気持ちも上向きになるみたい。
「じゃあ頑張って」

「はい、お母さん」

「帰りは車で迎えに行くからね」

「お願いします」

私は今日もいい子を演じる。
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