君とのキスの意味
水野君が、俺の顔を覗きこむようにしながら訊いてくる。

「だったかな・・・?」

うん、何となく気分がいい。

「お酒、そんなに強くないですか?」

「うん。すぐに赤くなるし、強くないと思う」

そう正直に答えると、水野君がクスッと笑う。

「?」と見つめていると、爆弾が落ちてきた。

「かわいいですね」

「っ!」思わず、目を見開く。

「水野君、酒、強い?」

水野君は少し考えた後、上目遣いで、囁くように言った。

「塚本さんよりは、強いと思います」

「っっ!!」

自分でも、何を言おうと思ったかわからない。俺から言葉が発せられる前に、水野君に声がかかった。

「沙映ちゃ~ん、生、頼んで!」

「は~い!他は、いいですか?」

と言いながら、水野君は立ち上がった。

特別な事を言われた訳ではないのに、水野君の表情( かお )と言葉が、優しく、甘く、俺の中で響いていた──















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