君とのキスの意味
あんまり、変わらないと思うけど・・・

「廊下を走るな~!」

わざと声色を変えて、水野君の後ろ姿に声をかける。彼女を見ると、からかいたくなるのは、なぜだろう?女の子とは、できるだけ関わらないようにしているのに・・・

ピタッ!と止まると、そ~っと振り返る。

俺の顔を見ると、頬が緩んだ。今度は、ズンズン!という勢いで、俺に近付いてくる。

「やっぱり~!塚本さんだと思ってました!」

俺を上目遣いで見上げ、唇を尖らせて言う。

だから、そういう表情(かお)は・・・!

俺と水野君の身長差は、30㎝以上。上目遣いになりやすいのも、仕方ないのかもしれないが・・・

あと、すぐに唇を尖らせるのも困ったものだ。どうやら、彼女の癖らしいが・・・

彼女のふっくらとした唇が、さらに強調され、どうしても、そこに目がいってしまう。

俺のよくわからない感情は、薄れるどころか、少しずつだが俺の中に溜まっているようだった。

野球チームは発足したが、梅雨時だけに、初めての野球練習は7月に入ってからだった。

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