君とのキスの意味
「遅くなりました!」

襖を開いて、声をかける。みんなの視線が、俺に集まる。一瞬の沈黙の後、

「お疲れ!」「塚本、遅い!」・・・と、様々な声が飛んでくる。

「塚本、お疲れ様」

高野主任から声をかけられる。珍しく、おもしろがるというより、労るような笑みを浮かべている。そんなに、疲れた顔をしているのだろうか?

「一仕事してきたから、今日は特別!沙映ちゃんの隣に座ってよし‼」

『さえちゃん』今日、経理に入った子か。本当に、マネージャーにさせられちゃったんだ・・・

笑みを浮かべながら室内を見渡すと、初めての顔と目が合う。

出入口近くに一人で、ちまっと足を崩して座っていた彼女は、目が合うと、慌てて隣の席を片付け始めた。

パタパタと空いた皿や箸を片付け、新しい取り皿と箸を置く。座布団を直すと

「お疲れ様です。どうぞ!」

と、座布団を右手で示した。「襲うなよ!」「沙映ちゃん、気を付けて!」なんて冷やかしが飛ぶ。

「照れるな・・・」と頭を掻いて、彼女の隣に行く。小竹君に生ビールを頼んでもらい、腰を下ろす。

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