密室の恋人
「なにかこう、一生懸命だけど、外してるところが」

「もうっ。
 蒼汰さん、嫌いですっ」

 だが、蒼汰は怒りもせずに、凛子を間近に瞳を見つめ、
「本当に?」
と訊いてくる。

「ほ……

 ……嘘です」
と言うと、蒼汰は笑った。

 エレベーターで見ていた陸人の微笑みよりも、もっとやさしく。

 そのまま、口づけてくる蒼汰を凛子は受け止めた。

 開け放した窓から入り込む風。

 島を渡ってきたそれは、あの夢のような庭園の香りを運んできていた。




                    完

 
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