空に舞う桜


「……知りません」




「そう、ですか……」




山南さんは静かにため息をついた。




いたたまれなくなって、俯いたその時。




「山南総長!いらっしゃいますか?!」




切羽詰った声が、障子の向こうから聞こえてきた。




「山崎くんですか。

 どうしました」




「失礼します」




スッと障子が開いて、黒装束に身を包んだ山崎さんが入ってきた。




跪きながら、彼は話を続けた。




「会合場所は、池田屋です」




「池田屋……」




その会話に、ホッと胸を撫で下ろした。



良かった、すぐに分かって。




だけど、山南さんは顔をしかめたままだった。




< 101 / 128 >

この作品をシェア

pagetop