空に舞う桜
「……知りません」
「そう、ですか……」
山南さんは静かにため息をついた。
いたたまれなくなって、俯いたその時。
「山南総長!いらっしゃいますか?!」
切羽詰った声が、障子の向こうから聞こえてきた。
「山崎くんですか。
どうしました」
「失礼します」
スッと障子が開いて、黒装束に身を包んだ山崎さんが入ってきた。
跪きながら、彼は話を続けた。
「会合場所は、池田屋です」
「池田屋……」
その会話に、ホッと胸を撫で下ろした。
良かった、すぐに分かって。
だけど、山南さんは顔をしかめたままだった。