空に舞う桜


「では、そこからお話ししましょう。

 奇襲をかける相手は、尊王攘夷派の浪士達。

 我々とは反対の考えを持っている人達です。

 彼らは、近いうちに京の街に火を放ち、天皇陛下を誘拐しようとしています」




「えっ?!」




て、天皇陛下を誘拐?!




なんか、全然現実味がないんだけど……




昔の人って、そんな凄いことしちゃうんだ……




あれ、でも待って?




この話、どこかで聞いたことあるような……




「新選組は、この企みを阻止するために、今夜会合が開かれている場所に乗り込みます。

 そして、そこで彼らを止めます」




「でも、止めるって……どうするんですか?」




「大人しく我々の縄にかかってくれればいいのですが……

 最悪、斬り合いになるかもしれませんね」




「っ!!」




き、斬り合い?!




でも、それは奥の手、だよね。




本当に、人を斬ったり、しないよね……




皆、大丈夫かな……




「今のところ、新選組に負傷者の連絡は入っていません。

 ですが、困ったことに会合場所がまだハッキリしていないのです」




「え……」




「土方くん、斎藤くん、原田くんが率いる部隊は四国屋に。

 近藤さん、沖田くん、藤堂くんが率いる部隊は池田屋に。

 どちらかなのは確かなのですが……」




「!!」




その瞬間、ハッと気が付いた。




全てが繋がった。




気のせいじゃなかったんだ。




この事件を、私は知ってる。




教科書に載るくらい、有名な事件。





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