僕はそれでも恋をする


人はやる気に勝てないと知った。


「も、もう無理ッ……保健室……」


あんなにやる気が出たのに、結局50mの距離を30秒も掛かってしまった。


これでも、頑張った方なんだ!うん。


「あっはは渚ってば必死に走ってるのに全然進まないんだもん!」


「めっちゃツボった!」


お陰で友達にはこの笑われよう……


いいもん! 馬鹿にすればいい!


私は頑張ったんだ!


頬に空気を溜めて、私はベンチに体育座り。


「早川さん」


「――! え、あっははぁ、なんだ柳瀬君か」


第一印象は盗撮。


「お疲れさま」


そして第二に、運動音痴。


あーぁ、印象悪すぎじゃんか私……。


柳瀬君も、笑う……かな。


「ありがと……」


「早川さんて、体力ないんだね」


柳瀬君は堕天使だ。


「わ、悪いかな?」


柳瀬君は馬鹿にしないって信じてたのにひどい。


「でも、僕は凄くカッコ良く見えたけどなぁ。諦めずに最後まで走るなんて、かっこいいよ」


「…………」


お世辞なのは知ってる。


自惚れなのも分かってる。


でも、これは――


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