白と黒のコーヒータイム
「正直言って意外です。国見さんはそつなく恋愛をこなすか、当分彼氏はいらないっていうようなタイプかと思ってましたから。」

真面目な顔で真柴が言うものだから国見は目をぱちぱちさせて思考を固まらせた。

そしてそれが外から見た自分の印象の一つなのかと考えると、あまりに実態よりスマートすぎて苦笑いを浮かべる。

少しは憧れた理想像だっただけにため息が出そうだ。

「そんな器用な人間じゃないよ。基本、恋愛はしていたいかな。私の場合少しでも油断するとオヒトリサマにどっぷりハマりそうで…それだけは気を付けろって昔から友達に言われてんの。」

大げさに手を付けて表現してみればそれが思いの外楽しかった。

どうやら真柴も楽しませた様で彼女も噴き出して笑う。

「あはは。油断は確かに危険ですね。お友達の言う事は分かる気がします。でも…うーん。」

「どうしたの?」

「やっぱりネックは名村さんですね。」

可愛らしく首を傾げた真柴は可愛らしさから一変、挑むよな目で国見を射抜いた。

思わぬ人物の名前に国見は思わず眉を寄せる。

「名村?」

復唱してその名前を確認すれば真柴は大げさに深く頷いてみせた。

「恋愛に行き詰まってる人が居心地のいい異性の友達を持っているのはちょっと危険な気がします。」

「えー?」

「でも使えるので判断材料として分析しましょう。」

「ぶ、分析?」

人差し指を立てて可愛らしくポーズをとった真柴の物騒な発言に国見は目を見開く。



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