白と黒のコーヒータイム
「はい。国見さんにとって名村さんのどこがいいと思うかです。」

「は…あ。」

さも当然のように語り始める真柴に圧され、国見はとりあえず頷くことにした。

一体何が始まるというのだろう、そんな疑問を抱えつつ行く末を見守ることにする。

「つまりは何が居心地のよさの正体か見極めるということですね。気楽に話せる~とかじゃなくて、そう感じる理由。感覚ではなくその理由を突きとめるんです。」

「…真柴ちゃんって理系?」

「数学は好きですよ?」

「おおー…。」

考え方の切り口からしてそうでなかろうかと尋ねてみれば、肯定に近い答えが返ってきたので国見は思わず後ろに体重を乗せた。

数学を好きと言ったことなんて人生で一度も無いなとますます真柴を尊敬しそうだ。

脱線しそうな気配を断ち切る様に真柴は手を使って、この話はこっちにおいといてと話を元に戻した。

「要は気楽な理由を見付けて、そうやって名村さんを少しずつ分析して切り取っていくんです。国見さんの条件が見えてきたら今度は近くの人に目を向けて見ましょ。国見さんは合コンとかで知り合うよりある程度関わっている人の方が上手くいきそうなんで。」

「…成程。」

「冗談が通じる、感性が似てる、話し方、何となく分かってきたらそこで名村さんは忘れてください。彼はあくまでサンプルなんで。」

容赦なく切り捨てる表現として真柴は勢いよく手を水平に素早く切ってみせる。

その仕草がどうも首切りの様な威力を持っているように感じられてゾッとしたなんて言えない。

少し圧倒されながらも僅かな恐怖心を抑えつつ国見はまた視線を真柴に戻した。

この子、かなり強い子かも知れない。

「名村さんみたいな話し方~だと名村さんと比較することになりますよ。」

「そっか、それだと名村にも相手にも失礼よね。」

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