白と黒のコーヒータイム
「密かに思いを寄せてる子も多いんじゃない?」

本人に思いを伝えるかどうかは勇気とタイミング次第だから見知らぬ誰かの密かな思いなんて無限の可能性だろう。

多数の異性に好かれるなんて羨ましすぎる。

しかしそうさせる魅力が名村にはあって国見にはない、ただそれだけなのだ。

いや、それはこれから挽回していく予定なのだと国見は静かに闘志を燃やした。

「…それで分かったのか?国見が俺に惚れない理由。」

いつまでも立ち止まっている国見に呆れ声に近い色の名村の声がふってくる。

声色もさることながら言われている意味が分からず国見は眉を寄せた。

「はあ?何それ。」

「国見の求める恋愛条件、言い換えればそういうことだろ。」

「あはは!成程ね!」

目が丸くなったのは一瞬のこと。

とんだ変換術だと笑い飛ばし、国見は止めていた足を再び動かして歩き始めた。

「どうかな~まだ探してる途中。」

正直自分でも導き出せる気がしていない、それどころか迷宮入りしそうな予感がして怖さもあるのだ。

「少なくとも俺には国見が紳士的な奴に惹かれないことがよく分かった。」

「ええ?あ~うん、確かにそうかも。思い返してもそんな人とは縁が無かったかな。どっちかって言うと…繊細とは無縁な豪快な人が好きだったかも。」

「豪快?」

「強引っていうの?頭よりも先に身体で反応するタイプ。例えばさ、女の子が…。」

そう続けようとした瞬間、身体が大きく揺れて国見の言葉も思考も止まってしまった。

一体何が起こったか分からない。

瞬きを重ねる中で少しずつ状況を理解していきクリアにしていった。

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