お伽噺の昼下がり
ミルクの死因は寿命だった。
「ミルク、本当によくここまで頑張ってくれたね。」
そう言って、ミルクの死を受け入れようとした。
だけど、ダメだった。
ミルクがいなくなった次の日も、私はミルクのご飯を準備していた。
日常の中に、ミルクが溶け込んでしまっているのだ。
その『日常』から『習慣』が抜けたら。
私の場合、それは『非日常』に変わってしまった。
それと同時に、心にぽっかりと穴が空いた感覚。
ああ、大事なものを失ったんだ、って気付く。
その刹那、私の中で何かが崩れる音。
心が「進みたくないよ」って悲鳴を上げる。
過去の思い出を抱きしめて、ずっとそのままでいたい。
ミルクと一緒にいたいだけ。
ねぇ・・・いいでしょ?
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