マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
「カナデ。ユーヘイ呼んできたら?
もうリハーサルは終わったんじゃないの?」
(英)

時計を見ると5時近かった。

「じゃ、呼んでくる。」(英)


市中引き回しの刑と勘違いされたとしても、無理矢理引っ張って来るつもりだ。


シモーヌさんの住んでいるアパルトマンは、劇場からもホテルからも、そう遠くはない所にあった。
程なくしてホテルに着く。


「梁瀬さん。」


呼び掛けてから、ノックする。
しばらく待つが、今朝のようなスムーズな反応がない。


…よっしゃ。やりますか。

ドアチャイムの連打に、ノックの乱れ打ち。
このフロアの客が全員出て来たとしても、やめるつもりはない、とばかりに叩き続けた。

……ガチャッ。


ドアノブが回り、ドアがおずおずと開く。
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