マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
「それでは、また来月ですね。宜しくお願い
します。」

「…うん。」

こうして演奏会が終わり、マエストロは帰国する度に空港まで見送ってくれるのだが、…何というか。
段ボールに入れた仔犬を公園に置き去りにしてくる様な感じ?


毎月毎月、日本とフランスを往復したいとぬかしていたマエストロの希望は、図らずも私が実行する形となってしまっている。
これでも最初の頃は、マエストロ独りで自身の
事をやってもらっていた。いい年した成人男性なのだし。

ところが、演奏会が追い込まれると以前の様に食事も摂らず、はた目に見ても萎れていく感じが酷すぎると、シモーヌさんから連絡が来るようになってしまったのだ。


これではオーケストラにも、事務局にもいい迷惑だという事で私が演奏会が近くなる度に、渡仏している。

これに、結局経費がかさんでるじゃないかと、ブツブツ言っているのが、叔父である社長。
そのうち、私もフランスに移住しろと言われそうで怖い。


こんな風にして私は片道7時間かけて日本とフランスを行き来している。
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