マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
「なまじっか簿記の資格だの何だの色々持っ
てたのがあだになった。」

「あー。」


そうだったのか。
なら、これからもちょくちょくさっきみたいな
嫌みを言われるかもしれない。


うーん。食べてた真鯛の刺身の味が分からなくなってきた。


「美味しい?俺が予約したんだこの店。」

「はい。凄く美味しく頂きました。」

「なら、良かった。」


前に並んでいた料理もほとんど食べてしまい、
他の人達も、席を立つなり、トイレに立つなり
し始めてきた。


「この後、二人でもう少し飲まない?
明日は休みだし、大石さんは今日疲れる様な
仕事してないでしょ?」


笑顔でさらりと私の心を突き刺してくる。
< 56 / 288 >

この作品をシェア

pagetop