元通りになんてできない
父になるという事


【幸元君、今日話せる?夜、うちに来てくれますか? 鷹山】

朝、幸元君にメールした。
妊娠した事、話したらなんて言うだろう。驚くのは間違いないだろう。
…予想外の事だろうから。

どんな反応が返って来ても大丈夫。
この子は私が守る。
私の子。
育てるのは私なんだから。
お願いだから、しっかりしがみついていてね。


【幸元で〜す。メールなんて珍しいね。
多分、そんなに遅くならないと思います。
薫さん家がいいんだよね?終わったらすぐ帰ります】


ふぅ、少し休もう。
風に当たりに行こう。
足元に気をつけて、非常口から出た階段に居た。

…気持ちいい。
緑の匂いがする。…空も青い。
妊娠の経験がある分、不安要素も減る。
匂いに対して敏感にはなるけど、有り難い事に悪阻は軽い。
ご飯の炊ける匂いは少し辛い。

一番酷いのがこれだから、本当、大した事ないと思う。
今の不安定な時期を過ぎれば、あとは楽になる、はず。
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