元通りになんてできない
「皮肉です。多分そうだろって、明日病院に行ってちゃんと調べるって言ってて。それが、こんな風になって妊娠してたって確実に分かったなんて。
妊娠初期とか、何となくですけど。まだ聞かされたばかりで、妊娠とか出産とか…、知識が曖昧というか、解らない事ばかりですから」
「…そうか、…そうだよな。あいつが、鷹山が、最近匂いに敏感になってたのは気がついていたか?」
「いいえ、特には…、何ですか?」
「…悪阻だ。ちゃんとした事は知らなくても、よくドラマとかで、こう、ウッとか言って、ツラそうにしてるの見た事ないか?」
「ああ、それは解ります。でも薫さんはそんな事…」
「ああ、そんなに辛くないらしい。それでも、ご飯の匂いはちょっときついらしいぞ?
辛くなくても、今は匂いには敏感になるみたいだから。仕事しながら、知らず知らず、顔、しかめてる事もあるしな」
っ。…部長は言われる前から気がついていたのか…気づいていたんだよな、きっと…。
「…幸元、言っておく。俺は鷹山のことが好きだ」
「なっ…。部長。いきなり何言ってるんですか。どういうつもりで…」
「好きなんだ。凜とした鷹山が。
だけど、解ってもらえるかどうか難しいが、それだけだ。そりゃあ、お前が居なければ、俺のものにしたいと思ってる。そんな気持ちはあるんだ」
「そんな…」
「略奪しようとか、そういうのとは違う。…だが、お前が大事にしないと解ったら、俺がもらうぞって事だ。好きな女は守りたい。そう思ってるだけだ」
「…それが、ハッパかけとけって言った事の意味なんですね?…」