元通りになんてできない


ん、…。部長に口づけていた。……あ…、私?…。


…鷹山?!

部長は目を丸くしていた。
私、どうしちゃったんだろう…。


鷹山…、衝動か?本気なのか?…、どっちなんだ?

「はっ。あ、……部長!」

慌てて唇を離し、両手で口を押さえていた。
部長の顔つきが変わった。

「鷹山、…貰うぞ」

低く痺れるような声でそう言うと、口を押さえている私の両腕を掴み、引きはがした。
噛み付くような激しい口づけを繰り返す。荒くなる息遣い。唇が触れる度、壁に向かって徐々に後進していった。

あ…、力が抜ける…動けない…、腰が…力が…。
壁伝いに崩れ落ちそうな私の腰に腕を回された。
後頭部を手で掴み、食むような口づけに変わった。
ゆっくりと、確かめるように深く絡めてくる。…痺れる。
ん、あ、駄目…、もう立っていられない…。

「鷹山…」

熱を帯びた声。部長が膝裏に腕を入れ、私を軽々と持ち上げた。
キャ…声にならない悲鳴…。ドキドキが暴走していた。

「貰うぞ…」

…なんて妖艶な顔。


寝るために敷いていた布団。
掛け布団を捲り、そっと下ろされた。
天井の明かりが消された。
急くようにネクタイを解き、スーツを脱いだ部長が布団を掛けながら私の上で腕を立て問うた。

「鷹山…、何も言わないのは肯定と取るぞ。抗って逃げようとしなかった事も肯定と取る。
…いいのか?
もう、聞かないぞ?もう止められない。…貰うぞ。子供、出来ても構わないか?俺はそのつもりでするから。いいのか?」
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