元通りになんてできない


「そうなんですね。…良かった。
あの、…実は私、子供が出来ました」

お腹に手を当て話す。

「産んで育てようと思っています。その事を話しに来ました」

「お、おぉ。なんと…ね?驚いた…。相手の人は…うちの事情は理解してくれているのかね?」

「はい、…もし、結婚を望んだとしても、事実婚しか出来ないと話してあります」

「と言うと、まだ、結婚というか、一緒になるとは決まってないのかい?」

「…婚姻届というモノが存在しませんから、お互い、気持ちの問題だと思っています」

「まあ、…そうだな。で、気持ちはどうなんだい?」

「…よく解りません。一緒に居たいのは好きだから、一緒に居たいのは結婚を望んでいるから、の区別が解らなくなっています。
確かに一生懸命に、好きだと言ってくれます。だから、この子が出来た事に何の後悔もありません。
私の気持ちは、子供は私が育てていく、という気持ちで固まっているという事なんです。
だから、一緒に暮らすことが事実婚だとか、ただの同棲になるのか、…それがもし無くなっても、それは関係ないと思っていて」

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