元通りになんてできない
-高野として-

…なんでもっと早く言って来ない?
そんなに俺は話し辛いオーラを出しているのか…。まあ、役職なんてソンな位置だからな。

夫を突然の事故で亡くして、子供を育ててるなんて、…大変だろうに。

鷹山の強さのようなモノはそこにあったのか。
物おじしない、少々の事にも動じない、対処が早い。こと、仕事に関してだが。
肝が据わってると言った方がいいな。女子社員に遠慮がちになりそうな事、鷹山に言ったとしても、涙を見せるような事はしないだろう。まあ、鷹山に注意するような事柄はないだろうけど。

こんなに気を張って、プライベートでは安らげているのか?
気を抜く時間はあるのか?…ないよな、子供はまだ小さい…。親はどうなんだ、実家は遠いのか。
…はっ、俺は仕事中に何考えてる…。
参ったな…。
凛とした鷹山の何もかもに惚れちまった…。いいオヤジが…。
随分とこんな気持ち、忘れてたのに…。

しかし、今の俺はそれどころか、家庭が…。家庭じゃないか、最早、寝に帰るだけの場所だな。
揉めないだけでも…揉めないな、…冷え切ってるんだから…協議離婚か。
はぁ、俺の結婚は何だったんだ…。
とにかく、区切りはつけられた。
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