元通りになんてできない
うさたん

「お疲れ様です、お帰りなさい」

「お世話になりますはあ、疲れた〜、…ごめんなさい」

「いいえ、お母さんは仕事に家事に大変ですからね。解ります」

「…すいません。有難うございます」

「おかあさん…」

「知里?どうしたの?」

少し暗い顔をしてる。

「うさたんが…こわれました」

「ん?見せて?あ〜大丈夫。大丈夫よ、知里。お家帰ってから直してあげる。今は、ここに入れておこうか?」

「うん。なおる?おかあさん?」

「大丈夫、直るから。さあ、靴履いて」

「うん!」

「どうかしました?」

「バッグに付けてあるキーホルダーが取れたみたいで」

「あ〜、知里ちゃん、凄くお気に入りですよね」

「そうなんです。だからなんとしても直してあげないと」

頑張ってください、と両腕で力こぶを作るポーズを見せられた。

「はい、頑張ります」

私もやり返した。

「アハハハ、もう鷹山さん。ノリがいいです。お母さんの中で一番話しやすいから、つい、私も悪のりしてしまいます」

「いつでも遠慮なく、ノリますよぉ」

「アハハハ、はい、有難うございます」

「おかあさん、はけたよ」

「じゃ帰ろう」

「うん」

「さようなら」

「さようなら」

ガッツポーズをして見せたら、ガッツポーズで帰された。
大笑いして帰った。
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