白雪と福嶋のきょり
初めて見る私たちの知らないはるか先生に驚きながら、自分がそういう感情を抱いた事があったのか過去の恋愛を回視したけれど。

「ないんだろ。」

いつもの先生の目に戻ったはるか先生と目が合った瞬間に、逃げてしまった目が答えだった。

私には、そんな感情を抱いた記憶なんて一つもなかった。

「はるか先生にはいるんですか?」
「ああ。」

私の記憶は楽しいとか嬉しいとか面白いとか正の感情ばかり。

そういう前向きだけの恋愛を疑った事もない私には、負の感情なんて浮かんだ事もなかった。

「苦しいのに、怖いのに、別れたいとは思わないんですか?」
「思わない。」


苦しくても怖くても痛くてもしんどくても。

それでも相手を求め続けるなんて、想像も出来なかった。
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