コールセンターの恋愛事情
「本当に、わたしは一体何をしたんだ…?」

呟いて見るも、思い当たることは何も思い浮かばない。

ああ、あれか。

さっきの人たちはからかっているんだ。

新入社員を怖がらせて、社会の厳しさを教えてやろうって言うあれなんだ。

「それにしては質が悪過ぎるような気がする…」

そう呟いた後、わたしは本社を後にした。

それで今に至ると言う訳だけど、
「本社から離れ過ぎにも程があるっつーの!」

ヒラヒラと舞っている桜の花びらを横目に、わたしは息を吐いた。

どこまで歩いたら部署があるんだ?

本社が見えなくなるくらい遠くにきても、それらしきものは見えない。

日が暮れるぞバカヤロー、怒るでしかし。

横山のやっさんのマネをしても、虚しいだけである。
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