コールセンターの恋愛事情
初出勤なのに、何でこんなことになっているんだろう?

そう思いながら息を吐いたら、
「須知紬さんでしょうか?」

わたしの名前を呼んだ声が聞こえたので、そちらの方に視線を向けた。

ヒラヒラとわたしの目の前を桜の花びらが舞っている。

花びらの向こう側にいたのは、柔らかそうな茶色の髪がよく似合っているスーツ姿のイケメンだった。

「そうですけど、あなたは…?」

彼とは初めて会ったはずなのに、どうしてわたしの名前を知っているの?

そう思いながら尋ねたら、
「申し遅れました。

通販部コールセンターの辻本工(ツジモトタクミ)と申します」

彼――辻本さんが自己紹介をした。

通販部コールセンターって…ええっ!?

そこは間違いなく、わたしが今日から働くことになった部署である。
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