みんな、ときどきひとり
「そっちこそ、なにしてるの?」
「今帰りですけど」
会話を繋ぐ気がないと思えるほどそっけない答えが返ってきた。言われなくても制服姿だからそれくらいわかるけど。
「そっか。そうだよね」
会話を遮るように、携帯の着信音が鳴り響いた。
「すみません」と小さく呟いた後、ポケットから携帯を取り出した。
「はい」
彼は声がよく聞こえないのか、左耳を押さえながら本屋を出て行った。
視線をイケメンパティシエの本に戻す。迷ったあげく参考書と一緒にレジへと向かった。
ちょっと思わぬ出費だけど。いっか、気になってたし。
レジのお姉さんが一瞬にやりと笑った気がしたけど、イケメンには興味ありません顔でお金を支払う。
自動ドアから外に出ると、キツネ男が知らない男子と一緒に話をしていた。
わたしに気がついたのか、目が合ったあと眉間にしわを寄せた。
なんでそんな顔をされなきゃいけないの?わたしもつられて眉間にしわが寄りそうになった。
同時に一緒にいた学ランの男子が後ろを振り返る。「あれ?」と大きな声を出した。