エリート同期は意地悪がお好き
「…司、黒澤さん、じゃなかった。黒澤社長の事知ってるの?」
「…昔から、両家の親が仲良くて、行き来があったから、よく知ってる」

へぇ〜、なんて頷いてる朱莉。

「…司?」

相変わらず、不機嫌な顔の俺をどうしていいか分からないと言った様子の朱莉。…朱莉が悪いわけじゃない。

…ただ、俺は、黒澤優が、大っ嫌いだ。

俺より10歳年上の36歳。容姿端麗の優は、成績優秀でスポーツも万能。28で、黒澤コーポレーションの社長になり、めきめきと頭角を現してる財界が注目する男だ。

…そんな優と俺は、年が離れているにも関わらず、何かと比較されてきた。

いい迷惑とも知らず、親達は、好き勝手に、言い合っていた。

「…朱莉」
「…ん?」

「…黒澤優には、絶対近くな」
「…?」

俺の言葉に、首をかしげる朱莉。

そんな朱莉を抱きしめて、切に願った。
…黒澤優を好きになるな。…と。

「…朱莉はどんな時も、俺の事だけ見てろ」

その言葉に、俺の顔を覗き込んだ朱莉は、柔らかい笑みを浮かべた。

「…心配性だなぁ。大丈夫だよ。私は、司の事大好きだから…私の事、お嫁さんにしてくれるんでしょ?」

その言葉に、しっかりと頷いた。
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