エリート同期は意地悪がお好き
8.…意地悪は、最高の愛情表現
…パーティーもそこそこに、私と司は帰宅した。

…あれだけの啖呵をきった司だったけど、社長に就任するに当たり、問題が山積みだ。

司は、営業部のエースだ。膨大な仕事を抱えている。まずはそれをどうにかしなければならない。

次に、自分が現社長である東城社長の息子である事、そして後を継ぐ事を、株主や重役達に、承認してもらわなければならない。

簡単に、社長になる事など、無理に等しい。

「…司、私にも手伝える事ある?」
「…朱莉は、何もしなくていい」

「…でも」

司の手をぎゅっと握りしめると、その上から、もう一つの手を上に重ねて微笑んだ。

「…朱莉は、いつもみたいに、能天気に笑ってて」
「の、能天気って!」

そう言って怒ろうとしたが、できなかった。

…司が、私にキスをしたから。

「…朱莉が俺のそばで、笑っていてくれたら、それだけで頑張れるから」

「司…」

「これからバタバタした日が続く。悲しい思いも、寂しい思いもさせるかもしれない。でも、それを過ぎて、落ち着いたら、結婚しよう」
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