エリート同期は意地悪がお好き
…司の宣言通り、司は多忙を極めた。

…毎晩のように一人で眠る日々。

寂しくないと言ったら嘘になる。でも、司が頑張ってるんだから、そんなことは言えない。

…今夜もなかなか眠れなくて、ベランダに出て、星空を眺めていた。

その時だった。

下の道路の方から、クラクションの音がした。

上から下に視線を落とすと、街頭に照らされた、黒澤社長がいて驚いた。

「…朱莉さん」
「…なんですか、こんな夜遅くに?」

怪訝な顔で黒澤社長を見ると、黒澤社長は苦笑いした。

「…少し、私に、朱莉さんの時間をくれませんか?」

「はい、あげます❤︎なんて、言うと思いますか?」

その言葉に、又しても苦笑する。

「…私は全く信用されてませんね」
「…当たり前ですよ」

「…司のことでちょっと、と言えば、ついてきてくれますか?」

「…」

しばらく考え込んだ私は、不信な気持ちは拭えなかったが、ついていくことにした。
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