エリート同期は意地悪がお好き
…連れてこられたのは、何故か、TOUJOU。

私は驚きの眼差しで、黒澤社長を見上げる。

すると、黒澤社長は人差し指を立て唇に当てるとウィンクした。

…一体この人は何を考えてるんだろう?

黒澤社長に促されるまま、最上階へと足を進めると、ガラス張りの大会議室で、株主や重役…東城社長…そして、司が会議中だった。

かなりの討論に、思わず息を呑む。

少し震えてしまった手を、黒澤社長が優しく握りしめ微笑んだ。

「…大丈夫です。司は、皆に認められます。…司は、それだけの力量も大きな器も持ってます」

「…黒澤社長は」
「…ん?」

「…司をどうしたいんですか?」
「…」

「…司を陥れようとしてるんですか?それとも…」

すると、黒澤社長は、フッと笑う。

「…司は、私にとって、本当の弟のような存在です」
「…え⁈」

「…私を踏み台にして、上に立ってくれればいい。嫌われても、憎まれてもいい。司がこの会社のトップになる事を私は熱望してます。…司と一生競い合えるよう仕向けなければ、司は会社のトップになんて立とうとは思わなかった。ただ今のまま、営業部で働き、朱莉さんと静かな結婚生活を送っていたかもしれませんね。

でも、それでは、東城社長も、大変です。それを見ているのは忍びない…

だから、もう少し、司に意地悪しますが、許してください。
司が司である為に…」
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