エリート同期は意地悪がお好き
黒川部長がいなくなり、ホッとしつつ、朱莉に視線を移す。

朱莉は必死で訂正してる。

…朱莉を見ていてふと思う。

同期入社だった朱莉とは、なぜか毎日のように喧嘩をしてたな。他の奴の前では猫かぶったみたいにニコニコしているのが、なんか気に食わなかった。

…ふんわりと、優しい笑みを浮かべる朱莉の顔を、俺の前でもしてくれたらいいのに。と、何度も思った。

…他の男共と、俺と、いったい何が違う?

そう思うようになり、気がつけば、意地悪ばかりするように。

朱莉に近づこうとする男を、追い払うのも日課になっていて、友人に言われるまで、気づかなかった。

そんな友人と、今日は久しぶりにランチをとった。

「仕事順調か?」
「あぁ、毎日順調過ぎるくらいだよ」

そう言って笑うと、友人、佐々木が、憎たらしい奴と言って笑う。

…佐々木は俺の友人で、朱莉の友人、久美の婚約者だ。
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