エリート同期は意地悪がお好き
2人で朝食を食べ、身支度を整えると、一緒に会社に向かう。

会社の最寄駅に降りると、朱莉は俺から離れていく。

…会社の人に見られたくないという。

…付き合っているわけではないので、そう思うのも仕方がないが。


別々に、同じ部署へと入り、仕事を始める。

今日は珍しく外勤がなく、事務処理をしていると、ふと、朱莉が目に留まる。

…楽しそうに、会話する朱莉。相手は、人事部の黒川部長。

…朱莉は気づいていない。

黒川部長の、朱莉への好意がある事を。

「…朱莉、これ」

楽しく会話してる2人の間に割って入る。

「…これが?」
「…間違いだらけだから、訂正しろ」

俺の言葉にギョッとした朱莉は、書類に目を通す。

「…ゴメン、すぐやり直す。黒川部長、すみません、仕事に戻りますね」

軽く会釈した朱莉は、自分のデスクに戻り、仕事を始める。

俺は黒川部長を冷たい眼差しで見つめた。

「…こんな所で油売ってないで、仕事したらどうですか?」

「…手厳しいな。…もう戻るよ。…君は、私のライバルのようだね」

澄ました顔で、そう言って、黒川部長は自分の部署に戻って行った。
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