エリート同期は意地悪がお好き
6.その愛は叶わない…
『明日もどうせ残業だろうから、一緒に帰ろ』

今朝、一緒に出社しながら司が言った。勿論私は笑顔で頷く。

…今日も仕事、頑張ろう。

そんな事を思いながら、仕事に励んだ。

デスクワークをこなしながら、各部署に頼まれた書類を配ったり…慌ただしく時間が過ぎていく。

…結局今日も残業決定。

人事部なんて、ほぼ定時終わりの仕事なのに、私はいつも残業で。

まだまだ修行中なんだから、仕方ない。と諦めて、パソコン操作をしていると、真後ろで人の気配がして振り返る。

「…ぁ、黒川部長お疲れ様です。まだ、おられたんですね」

「えぇ。部長会議が長引きまして。斎藤さんも、毎日残業してないで、たまには早くかえったらどうです?体が持ちませんよ」

…黒川部長は、やっぱり部下には優しいな。

「…斎藤さん。突然なんですが、私と付き合ってくれませんか?」

…え?…夕食、とか?

でも、今日は、司と帰る約束してる。

「…すみません。今日は先約がありまして。食事はまたの機会に」

「…食事でなくて。

交際してほしい、と言った方が、分かりやすかったですか?」

…こ、交際⁈
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