それは危険なラブミッション

「莉夏? もしかして、何も考えてない?」


ラーメンを食べる手を止め、夕菜が私の顔を覗き込む。
私が小さく頷くと、呆れたとばかりに大きな溜息を吐いた。

言われて初めて気付いた重要事項。
結婚を壊すことと同じくらい大切なことに違いないというのに。


「岬さんのことはどう思ってる?」

「どうって……」


そういう目で見なかったかといったら嘘になる。
紳士でスマートで優しい。
おまけに容姿も申し分ない。
多分、ほとんどの女性が理想とするような男の人だ。

けれど……
そのとき、不意に浮かんだルイの顔。

――なんでルイが出てくるのか。
今は出番じゃない。
慌ててその小癪な笑顔を弾き飛ばし、改めて岬さんのことを考えてみる。


「その反応だと、ピンとこないって感じね」


まだ何も言っていないというのに。

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