それは危険なラブミッション
「それで、夕べは大丈夫だったんですか?」
「え? あ、うん……」
達哉くんまで律儀に覚えていたらしい。
麻緒ちゃんのように不安いっぱいという表情はしていないし、取り立てて気に留めている様子でもない。
ただ、社交辞令のようなものだと思いつつも、用意している答えに嘘が混ざっている手前、困ってしまう。
「莉夏さんの御両親が生前お世話になった人なんだって」
麻緒ちゃんが代わりに答えてくれて、ホッとする。
「そうなの。私も初めて会ったんだけどね」
「へぇ。リムジンで乗り付けるようなセレブと知り合いだなんて、なんかすごいですね」
素直にそう思っているようだった。
「さてと、それじゃそろそろ開店といきますか」
達哉くんの号令に、三々五々散ったのだった。